明日のエネルギー


明日のエネルギーとして頼りになるのは間違いなく太陽光や風力などの自然エネルギーです。以前、風と太陽というページを作っていたころ、新しい風車ができるとよく写真を撮りに行きました。上の写真は鳥海山をバックに仁賀保高原で撮ったものです。


発電3年目 (2015.2.2)

自宅の屋根で太陽光発電をはじめて3年が過ぎました。3年目の実績は、発電3473kWh、売電2064kWh、買電4913kWh、消費6322kWhで、昨年と比べると発電量が約200kWh減っています。約6%の減少です。月毎に比較すると昨年より少ない月もありますが多い月もありますのでソーラーパネルの劣化とは思えません。大雪の後しばらく屋根の雪が融けなかった2月の発電量の低下(120kWh)が響いているようです。


発電2年目 (2014.1.28)

自宅の屋根で太陽光発電をはじめて2年が過ぎました。2年目の実績は、発電3671kWh、売電2199kWh、買電4751kWh、消費6223kWhで、1年目とほぼ同じです。ソーラーパネルの劣化は見られない様なので、まず安心です。


太陽光 日本は油断した  (2013.1.14 追加)

太陽光発電は米国で基礎技術が発見され、日本が技術開発し、欧州が普及にむけた制度をつくり、中国がパネルを量産する、という歩みをたどりました。導入量世界一を誇っていた日本はドイツやイタリアに追い抜かれ、生産量では中国に追い抜かれたのです。朝日新聞の特集記事で、元三洋電機社長の桑野幸徳さんが太陽光発電の歴史を振り返っており、大変興味深いです。

太陽光など自然エネルギーに対する政策は、94年度の補助金導入、06年度の補助金打ち切り、08年度の補助金再開、11年度の再生可能エネルギー法の成立、という経過をたどっています。政策は時の政権の原子力依存度によって強く影響されるようです。自民党政権に戻り、民主党が打ち出した「2030年代に原発ゼロ」という方針も揺らいでいます。桑野さんが指摘しています。「日本は油断した。やっぱり政策なんだ」



補助金制度
 (2013.1.8 追加)

近所を歩いていても、新しくソーラーパネルを載せた家が増えたような気がします。価格.comのサイトに、太陽光発の電補助金制度が出ていました。分かり易い解説で参考になります。設置を考えておられる方にお勧めです。



発電実績 (2013.1.6 追加)

屋根にソーラーパネルを設置して1年がたちました。順調に発電しています。年間の発電量は3502kWh、売電量は2167kWh、買電量は4766kWh、消費電力は6101kWhで、自給率は57%した。3.16kWのシステムで、発電シミュレーションでは3020kWhでしたから、予想より15%程度多かったことになります。

月ごとの発電、売電、買電、消費をグラフにしてみました。晴れの日が多く発電量が多いのは5月と8月、消費電量が多いのはエアコンを多く使う8月と1~3月です。売電量が買電量より多いのは5月、ほぼ等しいのは6月と9月です。電気自動車の充電もまかない、ガソリン代が不要になったわけですから、ソーラーパネルを設置したメリットは十分にあったと思います。





エネルギー関連のニュース 
(2012.5.18 追加)

今朝の朝日新聞に、今年度は昨年度の2倍のペースで太陽電池の設置が進むだろうとの太陽光発電協会の予想が出ていました。別のページには、「風力発電 続く逆風」という見出しの下、デンマークの風車メーカー、ベスタス社の経営が苦しく、全社員の1割に当たる2335人の解雇を打ち出したという記事がありました。シェールガスの開発が進んで需要が低迷したことや、中国メーカーの追い上げが厳しいのが原因です。

また別のページでは「原発ゼロ 政権ジレンマ」という見出しが目にとまります。野田政権は夏の電力需給対策をまとめました。原発ゼロのままこの夏を乗り切れば、脱原発の声が一層高まるのは必至で、再稼働を目指す政権にとってジレンマと書いています。
エネルギー政策の行方に目が離せません。



世界の原発政策  (2012.5.3 追加)

3月12日の朝日新聞に各国の原発政策が出ていましたので、まとめてみます。

 ドイツ  福島の事故から約4か月後、ドイツ議会は17基ある全原発を2022年までに段階的に閉鎖すると決めた。
 フランス  58基を持つ原発大国にも脱原発のうねりは及んでいるおり、4月の大統領選でも争点になった。
 韓国  李明博政権は、すでに21基ある原発の増設や海外輸出に積極的で、その是非が総選挙の対立軸になっている。
 中国  既存の14基に加え、27基を建設中。
 インド  今後20年で原発の発電能力を13倍にする計画。




藻類 バイオ燃料 (2012.1.8 追加)

将来のエネルギーとして光合成によるバイオマスも大きな可能性がありますが、有機物を吸収して炭化水素を合成する藻類が注目されている様です。筑波大学の渡邉信教授が研究している石油を生む藻 オーランチオキトリウムです。これについて熱心に情報を集めている老兵は黙って去りゆくのみというブログが見つかりました。動画もたくさんリンクされており、分かり易いです。



事故の真相
(2012.1.8 追加)

福島原発の事故の原因や経過については、失敗学会の吉岡律夫さんの報告が客観的で詳しいです。

前田誠一さんの、イゼナの社長ブログには、エネルギーと環境に関する名エッセイがたくさんあります。

政府の原発事故調査・検証委員会が2011年12月26日に中間報告書を公表しました。委員会のホームページで全文を読むことができます。 概要は16ページ、本文は507ページ、資料編は212ページという膨大なものです。私はまず概要から読み始めているところです。当初より非常用復水器や高圧注水系の操作について多くの疑問がありました。今回、運転員(当直)や幹部(本部)も非常用復水器の機能を十分に理解していなかったことが明らかとなり、報告書は「このような現状は原子力事業者として極めて不適切」としています。

12月27日の朝日新聞にも解説が出ています。その見出しを拾ってみましょう。証言から関係者の無知・無自覚が浮かんできます。全電源喪失という過酷事故に対するマニュアルも未整備で、福島第1原発で事故に直面した吉田昌郎前所長は、「とっさに何をしていいか思いつかなかった」と答えています。(2012.1.8)

なぜ原子炉を冷やせなかったのか
   非常用復水器    誰も停止に気付かなかった
   高圧注水系     停止の報告が1時間遅れた
   消防車の使用    ホースつなぐ口さえ知らず
   水素爆発       4分後にTVでやっと把握

なぜ備えが十分ではなかったのか
   15.7メートル試算  大津波は来ないと判断した
   過酷事故       「想定し出すときりがない」
   オフサイトサンター 高線量考慮していない構造
   線量計測       24台中23台が機能を失った




我家でもソーラー発電
 (2011.11.4 追加)

以前から家の屋根にソーラーパネルを設置したいと思っていましたが、費用のこともあり実際にはなかなか決心がつきませんでした。ところで最近、乗っている車の燃費があまりにも悪いので、思い切って電気自動車(三菱のi - MiEV)を購入しましたが、節電が叫ばれている折に電気で走るのはなんとなく後ろめたい気がしていました。丁度その時、環境ケイカクというソーラー発電施工会社の米山社長が訪ねて来られました。パネルの取り付け方法など、いくつか疑問点を訊ねたところ明快に答えてくれたのと、会社が家から近いということで設置を決断しました。

見積書も納得できるものだったので工事の契約を結びました。早速、国の補助金の申請手続きに入りましたが、申し込みが多く、23年度の当初予算が終わってしまったようで、補正予算の成立を待つことになりました。というわけで工事はしばらく先になりそうです。自宅での太陽光発電を検討しておられる方のご参考までに、役に立ちそうなサイトを以下にリンクで紹介いたします。工事の様子なども後日、アップしたいと思います。

補助金の申請
    J-PEC 太陽光発電普及拡大センター (国の補助金 1kWあたり48,000円)
    東京都住宅用創エネルギー機器等導入促進事業 (東京都の補助金 1kWあたり100,000円)

太陽光発電全般
    ソーラーパートナーズ (メーカーの比較、見積もりなど)
   太陽光発電業者の選び方
   タイナビ (基本情報と一括見積など)
   浅川太陽光発電所 (1994年から発電している浅川初男さの実践報告)
   我家のオール電化&太陽光発電 (オール電化と太陽光発電導入の体験談)

買取制度
太陽光発電の余剰電力買取制度(現行制度)と再生可能エネルギーの固定価格買取制度(新制度)については資源エネルギー庁のページに解説があります。日本の太陽光発電の設置量は世界一でしたが、ドイツが2004年に固定価格買取制度を導入すると設置量であっさり日本を抜いてしまいました。日本では余剰電力の買取制度が2009年11月に復活し、全量買い取りのための特措法は2012年7月から施行されます。

普及状況
2008年の総務省の統計では、太陽光発電装置をつけた住宅は52万戸で、普及率は持家で1.6%、借家で0.1%、住宅全体で1.1%です。その後、2009年1月から2011年9月の補助金申請件数をみると約50万件ですので、現在の普及率は約2倍になっていると思われます。J-PECの集計を見ると、このところ毎月2万件以上の補助金申請が続いています。

新聞記事
テレビのニュースは消えてしまうので記録が残りませんが、新聞記事は切り抜いておくと経過が良くわかります。風力や太陽光、原子力に関する記事を切り抜いています。 私の切り抜き帳 として太陽光発電と原子力に関するニュースを整理してみました。 

取り付け工事
太陽光発電の補助金をもらうにはJ-PECへの申請が受理されてから工事を始めなければなりません。11月1日に申請しましたが、丁度この日に本予算の枠が無くなり、補正予算の成立を待つことになりました。この間も審査は続けていた様で、補正予算成立後すぐに11月25日付の受理決定通知書が送られてきました。

太陽光パネルの取り付け工事は12月10日から始めることになりました。幸い快晴の日が続きましたが、冬の日は短く午後5時には暗くなります。米山社長を先頭に3人で三日間の工事でした。架台の設置と52枚のパネルの取り付け、パワーコンディショナー、ブレーカー、接続ユニットの取り付けと配線、床下に潜ってコンセントの配線など相当な作業量です。

12月12日には東電の下請けの関電工が買電メーター、売電メーターの取り付けに来ました。こちらは必要もないのに大きな作業車が2台、交通整理の警備員を含めて5〜6人いた様ですが、実際に作業するのは一人で、取り付け工事はすぐに終わりました。

全ての工事が完了した翌日、12月13日の朝には、東電が委託している調査員の検査があり、系統連系運転を始めることが出来ました。我家の発電記念日です。居間に置いた発電モニタに発電量や使用量が表示されますので、電気の流れが目で見えるようです。カタログ写真などで見るとパソコン画面の様に大きいですが、実際のモニタは小さくてかわいいものです。これでも現代のIC技術のおかげで、発電量、売電量、買電量、使用量が記録でき、積算量や自給率などの計算、グラフ表示などさまざまな機能を備えています。

我家の屋根は入り組んだ形の寄棟なので、大きなパネルではうまく並びません。小型のパネルを組み合わせることができる京セラのSAMURAIにしました。南東と南西の面を合わせて合計3.16kWとなりました。現在、晴れた日には最高で2.0kW発電しています。最初の検針は来年1月4日です。電気代がどれだけ下がるか楽しみです。東京都の補助金申請には初回の検針票が必要なので、この検針が終わってから申請することになります。(2011.12.22)

  




脱原発 (2011.8.10)

福島原発の事故を契機にさまざまな議論がありますが、私は脱原発が正しいと考えています。その理由は3つあります。

1)今回は津波が原因でしたが、運転員の操作ミスの恐れもあります。原発はいくら安全装置を増やしても、これで完璧ということはなく、本質的に危険なものです。

2)科学技術は失敗を重ねながら進歩しますが、原発は事故の影響があまりにも大きく、失敗の許されない技術といえるでしょう。安全神話や事故隠しと結びつくことになります。

3)動物の遺骸や落ち葉は微生物が分解し水と二酸化炭素になり、光合成で再利用されます。自然の物質は全て循環しています。ダイオキシンやサリンなどの猛毒も高温では分解しますが、核廃棄物は分解されず永遠に隔離しなければなりません。物質循環の原理に従わないのです。

ドイツやイタリアはいち早く脱原発に舵を切りました。日本は決断が遅いです。自然エネルギーは頼りにならないという意見がありますが、太陽光や風力の開発は日本よりドイツや中国で加速しています。(2011.8.10)



関連学会の動き

日本環境学会が原発事故による放射能汚染問題への緊急提言を公表しています。この中で最後に、原発は人智で管理することが困難であり、ドイツのように順次廃炉していき、将来的に全廃することを提言しています。

日本太陽エネルギー学会では自然エネルギー利用による日本の復興という会長メッセージを出しています。

日本物理学会では 「物理学者から見た原子力利用とエネルギー問題」というシンポジウムを開きました。講演資料を公開しています。

今回の原発事故に対しては専門家集団として最も責任を問われてしかるべき日本原子力学会は、「事故から教訓をくみ取り、世界で稼働中の原子力発電所で同じような事故を二度と起こさないようにすることが重要です。」として、事故の分析や対策を公表しています。しかし、原子力の安全性を根本から問い直そうという姿勢は見られませんから、説得力が感じられません。



エネルギー政策の転換

日本環境学会は震災復興と脱原発温暖化対策の両立を可能にするための提言も行い、政策の立案にも積極的に協力したいとの態度を表明しています。

エネルギー政策に関しては、飯田哲也さんが主宰する環境エネルギー政策研究所のページが大変参考になります。


上の図は5年ほど前に自然エネルギーのシンポジウムで飯田哲也さんが示したグラフです。かつて日本は世界一の太陽光発電の設置量を誇っていましたが、2004年に自然エネルギー法を改正したドイツは一気に日本を抜き去り世界一になりました。国のエネルギー政策の転換がいかに効果的かを如実に物語っています。



発電コスト

発電コストは原発が一番安いといわれてきましたが、それは虚構です。よくわかる原子力発電コスト 試算のからくりが出ています。

発電コストについては、脱原発入門講座原発の発電コストは安いか? にも分かり易い解説があります。



風力発電

風力発電に関する最新情報は日本風力エネルギー学会のページや、そこにあるリンクを使って調べることができます。最新の統計(2009年末)によると、世界の風力発電設備容量は158GW です。米国、ドイツ、中国、スペイン、インドのトップ5で全体の約74%を占めています。伸び率では中国がトップです。


上の写真は2008年にデンマークとノルウェーを旅行した時、コペンハーゲンからオスロに向かう船から撮ったものです。世界一美しいと言われる洋上風車です。 直線ではなく緩い弧を描くように配置されています。騒音や景観、バードストライクなど風車のマイナス面も指摘されます。今後は洋上風車が増えると思います。



太陽光発電のポテンシャル

日本太陽エネルギー学会の宇田川会長が自然エネルギー利用による日本の復興の中で太陽光発電の将来性について書いています。その要点を、私なりにまとめてみたいと思います。

 

 水力

 火力

 原子力

 合計

発電設備出力 (GW)

 45

 143

 49

 237

 年間発電電力量 (TWh)

 75

 568

 280

 925


日本の事業用の発電設備出力と年間発電電力量は上の表のとおりです。従って、火力と原子力を太陽光発電に置き換えるためには、発電設備出力で192 GW、年間発電電力量で848 TWhを賄う必要があります。必要な太陽電池パネルの面積とコストはいくらになるでしょうか。

 設置面積 

発電設備出力

年間発電電力量 

建設コスト 

 10 u

 1 kW

 1 MWh

 50 万円

 10 ku

 1 GW

 1 TWh

 5000 億円


太陽電池の発電効率を10%とすると、上の表のようになります。従って、年間848 TWhを発電するには約8500 ku必要となります。これは日本の国土面積およそ38万 kuの2.2%にすぎません。屋根の上や高速道路の脇、休耕地などを使えば十分です。

ではコストはいかほどでしょうか。発電設備出力1 GWは100万kWのことですから、原発1基分です。これは5000億円です。しかし、.出力1 GWの原発は年間5.7 TWhの発電をしますから、これを太陽電池で発電するには57 ku必要で、コストは2.9兆円です。太陽電池の発電効率を10%と仮定しましたが、今後の大幅な効率向上とコストダウンが期待されます。

火力と原子力をすべて太陽光発電で置き換えるのはコストの面できついので、地域の特徴に合わせた風力、地熱、バイオマス、小規模水力などの組み合わせが必要でしょう。



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